うさん村の物語

うさん村の旅行記:⑤「村民会議」編

 

 

※タツオ学院

いつもタツオ:「街でのフィールドワークもトラブルに見舞われて失敗に終わってしまった。こういう時は息抜きが必要じゃ、皆の衆!次の授業は自習にする。各自、好きな事を学びなさい。吾輩はちょっくらビーチに行ってくるわい♪」

イチモツ・コタロー:「おい、アイツは確実にナンパしに行ったな」

ウマミ・スー:「ダイフクを平気で見捨てたり、もう…我慢できないわ!」

シメノ・ダイフク:「…。」

※村役場まえ目安箱

イチモツ・コタロー:「ここにタツオ先生に対する訴状を投函する!」

シメノ・ダイフク:「ほ、本当に入れるの?ジローに相談しなくて大丈夫かな…」

イチモツ・コタロー:「ジローは先生側の人間だ。変に頭がキレるから、俺たちは何度も丸め込まれてきただろう」

ウマミ・スー:「そうね、その為に3人で来たんだから。最悪の場合に学院が取り潰しになったらモプコちゃんには悪いけど、もう我慢の限界よ!さあ、入れましょう!」

 

 

バサッ

 

 

 

 

一週間後

※村役場 中庭

皆の衆:「…。」

 

ザワザワッ

 

タンッタンッタンッ!

村長:「静粛に!これより、村民会議をはじめる。今日は大勢の村民が参加されておるので、会議室ではなく中庭で村民会議を行う。皆様、ご準備はよろしいですね」

 

 

 

村民達:「はーい」

村長:「本日の司会進行役を務めさせて頂く、村長のタナカ・シリゾウです。書記には私の秘書のシタ・タカ君を任命します」

シタ・タカ:「はい。書記を任されましたシタ・タカです。皆さま本日は宜しくお願い致します」

タナカ・シリゾウ:「本日の議題ですが、村役場まえに目安箱が設置されているのを皆さまご存知ですね?何か村での生活に困ったことがあれば、この箱に内容を書いて投函するという仕組みでしたね。先週、一通の訴状が投函されておりました。内容はシタ・タカ君、読み上げたまえ」

シタ・タカ:「はい、匿名での訴状です。うさん村にあるタツオ学院では、生徒にデタラメな嘘を教えている。そこの学院長の いつもタツオという奴はとにかく下世話な人物で、日々ナンパに明け暮れて性にだらしがなく、ここぞという時に教え子を簡単に見捨てる最低の男。学院の取り潰しか学院長の更迭を強く要望する。っと書かれておりました」

タナカ・シリゾウ:「う〜ん。これが本当であれば問題じゃな。村で数少ない教育機関がこれでは困る。では、本人に直接はなしを聞くことにするか。いつもタツオ!参れ!」

役人:「ほらっ!早く歩け。席に付かぬか」

いつもタツオ:「うぅ事実無根。何かの間違いじゃ。何で吾輩がこんな事に…」

タナカ・シリゾウ:「タツオよ、書状の内容は誠か?誠なら何故そのような蛮行に走ったかを申してみよ」

いつもタツオ:「いえ、その様な事実は一切ございません」

村女:「う、嘘よ!私、アイツに声かけられたことがあるわ!ねちっこいナンパ手法でしつこかったのを覚えているわ!」

いつもタツオ:「そ、それは貴女があまりにも美しかったから…つい。悪意は一切ありません!村長、信じてください」

タナカ・シリゾウ:「ナンパをすること自体は問題無いのだが、立場をわきまえねばならんぞ。それに、昨日お主の学院に事前アンケートを取ったところ、5人の内で3人が不服を申し立てている。これはどう言うことじゃ?」

いつもタツオ:「そ、そんなあ!まさかっ!吾輩は生徒諸君を信じておったのに…」

皆の衆:「…。」

タナカ・シリゾウ:「決まりじゃな。村民の皆様、よろしいですね。タツオ学院は取り潰しも視野に入れて一先ず閉院します。その間、いつもタツオ氏は留置場で生活してもらう!」

 

村民共:「異議なーし!」

シタ・タカ:「賛成多数の様ですね。これにて本日の村民会議を閉会とさせて頂きます。皆様、気を付けてお帰りください」

いつもタツオ:「ぶ、ぶるーたす。oh ジーザス…」

役人:「立て、早く歩かんか!」

※うさん警察署 留置場内

 

いつもタツオ:「ああ、吾輩はいつまで囚われの身となってしまうのか…」

拘留中の男:「おいっ!新入り。知ってるか?」

いつもタツオ:「お主は以前、留置場見学をした際に結婚詐欺で拘留されていた男じゃな。何か用か?」

拘留中の男:「数日前に村長が隠者討伐令(いんじゃ とうばつれい)を出したのを知っているか?」

いつもタツオ:「隠者討伐令じゃと?吾輩は何も聞いとらんぞ。隠者の森に思想家たちが住み着いているのは今に始まったことではないじゃろう。何故いまごろになって討伐令などを村長は出したんじゃ?」

拘留中の男:「その背景には、村長が怪しげな建物を隠者の森の奥深くに建て、そこに美女を住まわせているって噂だ。その発覚を防ぐために周囲に暮らす隠者を討伐しようって、とんでもない話さ。住処を奪われた、隠者の一人から話を聞いたんだ!」

いつもタツオ:「村長、いやタナカ先生はもはや別人になってしまわれた…。実は、タナカ先生は教育者として立派な方だったのだ、吾輩も教え子の一人で尊敬していたのに残念だ。このところ様子がおかしいとは聞いていたのじゃが、まさかそこまでとは…」

拘留中の男:「おそらく、俺にその事を教えてくれた隠者もキナ臭島に島流しになっているだろう。奴が口を破れば俺とて只では済まされないだろう。頼む!、俺たちを救ってくれ!」

刑務官:「おい!いつもタツオ!面会だ。速やかに部屋を出ろ」

ナメック・ジロー:「タツオ先生、一杯食わされましたね。まあ察してはおられるでしょうが、コタロー、スー、ダイフクの3名が先生を裏切り、目安箱に訴状を投函したようです」

いつもタツオ:「もうよいわ!確かにこの処の吾輩は調子に乗っておった。ジロー、お主にはいつも面倒をかけるのぉ」

ナメック・ジロー:「いえいえ、私はいっこうに構いませんが、奥様が心配しておりました。留置場から出てきたら必ず我が刃でお主の心臓を貫くと、そう伝えておいてくれと…」

いつもタツオ:「それ、心配とは言わんじゃろう…。それよりもジロー頼みがある。カクカクシカジカでこういう訳じゃ」

ナメック・ジロー:「なるほど、村長が隠者の森の奥にそんな物を。これは大逆転のチャンスですね。証拠を集めて村長をねじ伏せましょう。メザメノ・アカシさんなら何かを知っているかもしれません。一度、お会いしてきます」

いつもタツオ:「持つべきものは賢い教え子じゃ!どうか、気をつけるんじゃぞ。ゆけぇ!ジロー!!」

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-ナレーション-

タツオ学院の生徒達はバラバラになってしまった…。

果たして、タツオは疑いを晴らし大逆転できるのであろうか…。そのカギはジローが握っている事に間違いはないであろう。

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イチモツ・コタロー:「タツオの追い出しには成功したが、学院には新しい院長が来るのだろうか?」

ウマミ・スー:「きっとタナカ村長が良い先生を連れて来てくれるわよ」

シメノ・ダイフク:「閉院したままで、僕らの行く場所が無くなっちゃったりして」

ユカノ・モプコ:「…。」

ペイン・ポスギ:「よお!お前ら。死んだタチウオの様な口元をしやがって、何回かあったのか?」

シメノ・ダイフク:「それを言うなら死んだ魚の目でしょ、具体的すぎるんだよ。ポスギこそどうしたの?その大っきなトンカチ」

ペイン・ポスギ:「実はよ、村の掲示板にバイトの募集があってよ。流石のオレ様が応募すれば当然合格よ。んでもって、早速の仕事をしてきた訳だ」

イチモツ・コタロー:「ポスギが受かる仕事って事は、頭脳は使わないってことだな。で?何か壊してきたの?」

ペイン・ポスギ:「なんだお前ら知らないのか。タツオ学院を解体するように言われたんだ。タツオ先生、建て替えでもするんだろ?バッチリ仕事してきたぜ!」

ウマミ・スー:「まずいわ!行きましょう!」

 

タッタッタッ

皆の衆:「!!」

イチモツ・コタロー:「まさか、建物まで壊すとは…。明日から俺たち何処に行けばいい」

シタ・タカ:「こんにちは、皆さん。驚かせてしまったね」

ウマミ・スー:「あら、シタ・タカさん。私達まさか建物まで壊されちゃうなんて思ってもいなかったわ!」

シタ・タカ:「そうだよね、安心して下さい。役所に皆さんの学びの場を用意していますから、是非ともお役所仕事を通じて立派な村民になって頂きましょう。付いてきて」

ウマミ・スー:「やったー!お役所仕事なんてお父さんも喜ぶわ。シタ・タカさんありがとう♪」

ユカノ・モプコ:「アタシャ事務仕事なんて向いてねぇし、村の役に立つ人間には成れそうにねぇ。遠慮しとくっす」

シタ・タカ:「そうですか、残念ですね。そうしましたら、どんな事にご興味をお持ちかな?」

ユカノ・モプコ:「性格的にマイペースなんで…。あんましセカセカしてねぇとこで、絵でも描いてるのが好きっすね」

シタ・タカ:「わかりました。うさん美術館の名誉館長カモシカ・ポクサイ様に私の方から仕事の口を頼んでおきます。少しでも好きな事に携わった方がよろしいでしょう。今日はお家に帰宅して下さい。明日には、遣いの者が参るでしょう」

 

シタ・タカ:「では早速、仕事の手伝いでもして頂きますか。無理せずコツコツ覚えて行けば大丈夫ですから。あっ君!今日から3人の教育係をお願いする。大切な人材だ、しっかり頼むぞ」

教育係の役人:「しょ、承知しました。(無茶振りすんなー!)では、皆んな私の仕事の手伝いをして頂きましょう」

皆の衆:「よろしくお願いしまーす!」

 

※翌日

うさん美術館

ユカノ・モプコ:「シタ・タカさんからの紹介で来た、ユカノ・モプコっす」

カモシカ・ポクサイ:「おぅ。待っておったぞ!早速じゃが君には重要な任務を任せたい。付いてきなさい」

ユカノ・モプコ「え、アタシャ何にも出来ねぇっすよ」

カモシカ・ポクサイ:「何も出来なくていいんじゃ。これを見てくれ」

 

ユカノ・モプコ:「なんだか生々しい石像っすね」

カモシカ・ポクサイ:「これは、科学者メザメノ・アカシ君が西洋からの客人を招いた時に譲り受けた物だ。とてつもなく価値がある代物で、我が美術館に寄贈してくれたのだ」

ユカノ・モプコ:「ほう、それでこれをどうしろって話なんすか?」

カモシカ・ポクサイ:「最近、怪しげな連中が美術館の周りをウロついておるのだ。おそらく、この石像を狙っている。君には監視を頼みたい、そこにブザーがあるじゃろ。うさん警察署に直通のブザーじゃ、押せば周辺にいる署員が駆けつけてくれる仕組みじゃ。怪しい奴が近付いたら押せばいいのだ」

ユカノ・モプコ:「ただボタン押すだけなら出来そうだな。ちと恐っかねぇけど、事務仕事よりマシか。引き受けるっす」

カモシカ・ポクサイ:「村の宝を守ると思えば、人経費など安いもんじゃ。固く考えずに気楽にやってくれ」

 

※一方、村役場では

教育係の役人:「ふぅ、皆んな良く頑張ってくれているね。ここいらで休憩にしよう、1時間後にまた戻ってきてね」

皆の衆:「はーい」

シメノ・ダイフク:「少し役所の中を散策してみようよ」

ウマミ・スー:「そうね。私達ここに来てまだ何も知らないもの」

イチモツ・コタロー:「役所も別館が何ヶ所かあったな。あの一番奥の建物に行ってみようぜ」

 

※うさん村役場 別館屋上

シメノ・ダイフク:「こんな所に入っちゃまずいよ…」

イチモツ・コタロー:「大丈夫だよ。景色も良さそうだし屋上に出よう」

ウマミ・スー:「待って、誰かいるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

夜黒龍:「ボス、申し訳ねぇ。邪魔が入ったんだよ!俺のウィルスが効かない奴がいたんだ!」

シタ・タカ:「あっ?言い訳してんじゃねーぞ!テメー、恩を仇で返すとは何事だ。せっかくバカ村長を手なずけて万全の準備を整えたというのに…俺がお前を作り出したんだぞ。いつでも消せる事を忘れるな!しばらくの間、『で〜ぶランニング』の中で力を蓄とけ。次は無いと思えよ…」

夜黒龍:「うへぇ。承知しました…次は必ず村ごと乗っ取ります。ではこれにて失礼」

シュッ

 

 

 

皆の衆:「!?」

イチモツ・コタロー:「シタ・タカさん!どう言うことだよ!何でバグ因子の夜黒龍と一緒にいるんだよ??」

シタ・タカ:「はっ!君たち何でこんな所に…」

ウマミ・スー:「夜黒龍を作ったってどう言う事なの!?」

シタ・タカ:「そうか、夜黒龍のことも知っているとは…。決定的な現場を見られては仕方がない。おい!!誰かいるか!」

役人:「お呼びでしょうか?」

シタ・タカ:「コヤツら3人は村の機密文書を盗もうとしていた。恐らく何処かの回し者、留置場にぶち込んでおけ!!」

イチモツ・コタロー:「待て!俺たちは何もしてないって!」

 

 

 

※うさん警察署 留置場内

いつもタツオ:「どうせ囚われの身ならば、獄中日記でも付けてみたいのぉ」

ギーッ

刑務官:「おい!お前ら速やかに部屋に入れ!」

 

 

バタンッ!

コタロー・ダイフク:「せ、先生!」

 

 

 

いつもタツオ:「諸君!どうしてここに?あの後どうなったか、心配しておったぞ!」

 

コタロー、ダイフク:「先生!ごめんなさい!!」

イチモツ・コタロー:「実はカクカクシカジカで…」

シメノ・ダイフク:「スーも女子部屋に拘留されてしまいました」

 

いつもタツオ:「何と!おのれ、シタ・タカめ!」

コタロー、ダイフク:「先生。許してください」

いつもタツオ:「もう良いわ、諸君は大切な事を学んだのぅ」

イチモツ・コタロー:「俺たち取り返しのつかない事を…」

いつもタツオ:「いや、まだ望みはある。隠者の森に向かったジローが上手いことやってくれれば良いのだが…。もう頼みの綱はジローしかおらんぞ」

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-ナレーション-

遂に本性を現したシタ・タカ。このままでは人工知能「で〜ぶランニング」が夜黒龍の手に落ち、村ごと乗っ取られてしまうぞ!!

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・登場人物紹介

タナカ・シリゾウ

かつての大物政治家。環境問題に着手するなど政治家として手腕を発揮して一大派閥を築いたが、エイドリアン事件(収賄)で失墜し、政界を追われた。未開の地に移住者を募り、うさん村を創設。カケヨ、タツオ、スワルの3人の恩師で教育者でもあった。シタ・タカが側近になってから様子がおかしくなった。公費で隠者の森奥地に「おしりんハウス」を建て村民から非難を浴びる渦中の人物。

シタ・タカ

少年時代に、うさん村の暗算boys選手権の決勝で天才アカシに破れ恨みをもつことに。表向きは善人そのもので村民からも慕われていた。
何でも数字に置き換える癖があり「褐色のデータマン」の異名を持つ。
抽象的な事が大嫌いで、隠者の森に潜む思想家達を忌み嫌っている。シリゾウに隠者討伐令を持ちかけたり、人工知能「で〜ぶランニング」内で猛威を振るうバグ因子、「夜黒龍」を作り出して潜入させた黒幕。うさん村を乗っ取ることを企てている。

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-つづく-

うさん村の旅行記:⑥「隠者討伐令」編 ※隠とん小屋 ナメック・ジロー:「ふぅ、ようやく隠とん小屋にたどり着いたか。アカシさんはいるだろう...
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ハシバ・トヨキチ
『ようこそ!うさん村へ』編集長のハシバ・トヨキチです。 余暇を使ってギャグコンテンツを作っています。当サイトでは仮想の村『うさん村』を題材に、4コマ漫画や暮らしに役立つ情報まで幅広く発信しております。