うさん村の物語

うさん村の旅行記:②「隠者の森」編

 

※タツオ学院

いつもタツオ:「やぁ皆の衆、フィールドワークご苦労じゃった。では、次の授業を始めるよ!準備はいいかい?」

皆の衆:「は〜い」

いつもタツオ:「今日もフィールドワークになるのだが、自然に触れたいと思うのだ」

シメノ・ダイフク:「自然に触れることが何で嘘つき養成講座と関係があるのですか?」

いつもタツオ:「うむ。良い質問じゃ、ポッチャリ王子。良い嘘を付くためには、自分に備わっている感覚を磨く必要があるのじゃ。この辺は難しくなるので、現地で話そう。さあ隠者の森に向かうぞ」

イチモツ・コタロー:「おい、隠者の森は未成年は立ち入り禁止だ!村の人だって滅多に寄り付かない危険な場所だぞ!なに考えてんだよ」

ウマミ・スー:「お父さんから聞いたけど、あの森は危険な思想家たちが住み着いているんだって。それも皆んな違った思想を持っていてバラバラに動いているらしいわ。何処で洗脳されるか分からないわよ」

いつもタツオ:「バカもん。学びに危険は付きものなのじゃ!尊敬する吉田松陰先生が言っていたぞ、狂いたまえって!ささっ皆の衆、今日は盛大に狂おうぞ!!出発進行ー!」

いつもタツオ:「では隠者の森を目指すぞ。途中、怪しい者が近づいて来たら直ぐに吾輩に知らせるんじゃ」

皆の衆:「は〜い」

ザッザッザッザ

いつもタツオ:(出発したのは良いのだが…。う〜ウンチしたーい!どうしよっ。ここは野糞しかないか)

「皆の衆。吾輩は重要な書物を寺子屋に忘れてしまった。すまぬが先に進んでいなさい」

 

イチモツ・コタロー:「チッあのクズ。俺たち残してマジで居なくなりやがった」

ユカノ・モプコ:「うぅ。村を出てから草むらが続いて、虫に喰われて仕方ねぇべ。あちこちカイィーくて、やんなっちめぇなあ」

ガサッガサッ

ナメック・ジロー:「静かに。何やら物音がするぞ」

 

 

 

 

 

ガサッガサッ

 

 

 

男:「!!」

シメノ・ダイフク:「わぁ!変質者が出たぞー!」

ウマミ・スー:「あなた此処で一体なにをしているの?普通の村人はこんな所に近づかない筈よ」

男:「いきなり人を変質者 呼ばわりとは心外だな。それと君、いま普通って言った?普通って何?何を基準に言ってる?誰かの教えがあっての言葉なのか?答えてみよ」

ナメック・ジロー:「流石に隠者の森だけあって、確固たる自分の価値観を持っていないと狂ってしまうぞ」

男②:「おいアカシ。どうしたんじゃ?」

イチモツ・コタロー:「次から次に変なのが出てくんなー。うさんくせぇ」

男:「スワル法師さま。何やら村から若者達が迷い込んで来たようです。諭しますか?返しますか?」

男②:「この子らはまだ若い。この若者達に、この世の心理を教えて進ぜようではないか」

いつもタツオ:「いやぁ〜快調快調。皆の衆、待たせたな!」

男②:「ん?タツオ…か」

イチモツ・コタロー:「なんだ?知り合いか」

いつもタツオ:「スワルか、久しぶりじゃの…。吾輩の生徒に何か用か?」

男:「タツオ先生…。お久しぶりです」

いつもタツオ:「メザメノ・アカシか。やはりスワルの元におったか。村の皆が探しておるぞ」

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〜人物紹介〜

「すぐにスワル」 (いつもタツオの幼なじみ)

琵琶の名手と謳われ、遠くからその音色を聴きにくる人もいるほどだ。とにかく太々しい、だたの老荘思想かぶれ。自然に回帰せよが口癖。
彼の奏でる「コイケ物語」は、ラーメンに心を奪われたコイケ一族の栄華と破滅を描いた不朽の名作。「コイケに非ずんば人に非ず」という名言を残した。最後、日清殿がスープに身投げするシーンは多くの人の心を掴んで離さない。

 

「メザメノ・アカシ」

科学者で天才。人工知能(で〜ぶランニング)の開発を進めながら、なぜか新種の人体細胞(スカッペ細胞)を発見するなど、うさん村で初の「ノッペル賞」受賞者になるのでは、と期待されていたがスワルに感化され隠者に。 商業地域が急速に発展したのも天才アカシの功績である。
隠者になる前に残した手記、ハッカーノートは「天才を通り越し宇宙人」とまでいわれた彼の方程式がギッシリ詰まっていた。

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いつもタツオ:「アカシ、村の皆を心配させてはならん。今すぐ帰るのだ」

メザメノ・アカシ:「…。」

すぐにスワル:「タツオや、お主は何も分かっておらんなぁ。アカシは自らの意思で、この森に住み着いたのじゃ」

いつおタツオ:「ふん。スワルよ、どうせお主が自然回帰などと抜かして言いくるめたのじゃろう」

メザメノ・アカシ:「タツオ先生、それは違います。スワル法師様は、う山で遭難して死にそうになった私を救って下さったのです」

いつもタツオ:「う山で遭難だと!なぜ商業地域で研究開発を行なっていたアカシが う山などに登ったのじゃ?」

メザメノ・アカシ:「それには少々話が長くなりますので、場所を移しましょう。我々が暮らす隠とん小屋を案内します。ついて来てください」

イチモツ・コタロー:「う山は標高3000メートル級の山だぞ。腹を空かした狼の群れが住み着いているとも聞いたことがある。あのメガネはとんだ命知らずだ」

ウマミ・スー:「きっと何か深い訳があるんじゃない?面白そうだから付いて行きましょうよ」

※隠とん小屋

すぐにスワル:「ここがワシらが寝床にしている隠とん小屋じゃ。まぁ若いの、ゆるりとくつろぐが良い」

ユカノ・モプコ:「ふぅ、やっと座ったべぇ。こりゃありがとござんすぅ」

メザメノ・アカシ:「では手短にお話ししましょう」

「上の①〜③の絵を見て下さい」

①は私が作り上げた人工知能「で〜ぶランニング」です。この装置は、うさん商業地域で最も巨大なビル「バナナ社」の地下深くで稼働しております。

②はこの「で〜ぶランニング」の内部です。ミクロレベルの小さな相撲取り型の因子がランニングマシーンの上を走ることによって自家発電を可能にしました。
この小さな力士たちは、分裂や合体を繰り返し数を増やす事も減らす事も自由自在です。記憶を司る機能もあるために、どんどん知識が蓄積されていきます。

③うさん島の全体マップですが、紫のエリア内は既に「で〜ぶランニング」の監視下に置かれております。つまり電気が通っているところは、小さな力士たちが行ったり来たりでき、情報を「で〜ぶランニング」本体に伝達しているのです。

メザメノ・アカシ:「この事実を知る者は、開発者の私とバナナ社の社長だけです。」

いつもタツオ:「なるほど、村が急速に発展を遂げたのはそのおかげか。それは分かったのだが…。それとアカシが う山で遭難したのと何の関係があるのじゃ?」

メザメノ・アカシ:「あってはならない事が起こったのです。そう、あり得ないバグが発生したのです」

「全て均一の筈の相撲取り型 因子の中に、一人横綱因子が発生したのです」

「この 夜黒龍 と呼ばれる一人横綱因子はランニングしないどころか、他の力士たちを締め上げては服従させ一団を築いたのです!そう、私の方程式には無い展開」

イチモツ・コタロー:「なんか聞いたことある様な名前ばっかり出て来たぞ、あ〜うさんせぇ」

ナメック・ジロー:「待て、ここは聞いておいた方が良さそうだぞ。続けて下さい、なぜ う山に?」

メザメノ・アカシ:「夜黒龍は、開発者である私の命を狙っているんだ。『で〜ぶランニング』を止める事が出来る人間は唯一 私ひとりだからね。私を抹殺して、『で〜ぶランニング』の本体ごと乗っ取ろうと考えているのだよ。そして私は追われ続けた末、う山を登るに至った訳だ」

ガサッガサッ

すぐにスワル:「まずい、追手か。アカシ行くぞ!」

シメノ・ダイフク:「二人とも、あっと言う間に消えちゃった。しかし、今度は何だろ!」

 

 

 

 

ドンドン!

 

バタンッ

男:「失礼!君達ここいらでアカシという青年を見なかったか?」

イチモツ・コタロー:「わっ!最強の剣術家、う、上杉雲双(ウエスギ・ウンソウ)だぞ!本物だ」

いつもタツオ:「上杉殿。うさん警察署の署長である お主自ら動くとは、一体なにが起こったと言うのです?」

上杉雲双:「これはタツオ先生。詳しいことは言えませんが、村長に頼まれてアカシを村に連れ戻しに来ました」

上杉の部下:「上杉様。付近に焚き火の跡がありました。まだそんなに時間は経っていないものと思われます」

上杉雲双:「さあタツオ先生、どうなのですか?アカシと一緒にいたんじゃないんですか?場合によっては署に同行して頂くが…」

タタタタッ

 

 

 

バタンッ男②:「探したぞ!雲双!この恨みの手裏剣を受けてみろ!」

上杉雲双:「チッ肝心な時にポスギのバカが来おったわ!仕方がない、者共 出直すぞ!」

ササッ

男②:「喰らえ火遁の術、水遁の術、隠遁の術、豊胸術? オラオラオラー!!」

ユカノ・モプコ:「あのぅ、もうとっくに誰もいねぇっすよ」

男②:「ッ!! デアリャー!」

 

 

 

 

 

 

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〜人物紹介〜

「上杉雲双」(ウエスギ・ウンソウ)

うさん警察署の署長。剣術家で居合道の達人。刀を鞘から抜いて僅か0.3秒の早業で人を切り倒す。「鬼の雲双」の異名を持つ。
趣味は手芸にパッチワーク。小さな子グマのぬいぐるみ「ダッキー」の収集という噂も。
少女マンガ「テーラーぷ〜ん」や「亀より刺身」の大ファン。

「ペイン・ポスギ」

とにかく、脱ぎたがる忍者。「キナ臭島」で うさん警察署長の「上杉雲双」と歴史に残る死闘を演じたかったが、雲双の逆水平チョップで、たった3秒の失神KO負けを喫する。緊急搬送の為、「キナ臭島」から運び出されたときに何故か下半身露出という醜態を演じた。
忍者であるが、遂行した任務を吹聴する癖があるせいで依頼が激減。空いた時間を筋トレに費やしている。総じて言うならヒマ人で、誰も相手にしてくれないのである。

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つづく

うさん村の旅行記:③「うさんビーチ」編 ※タツオ学院 いつもタツオ:「皆の衆、隠者の森での学習は失敗に終わってしまったが、吾輩は諦めておら...

 

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ハシバ・トヨキチ
『ようこそ!うさん村へ』編集長のハシバ・トヨキチです。 余暇を使ってギャグコンテンツを作っています。当サイトでは仮想の村『うさん村』を題材に、4コマ漫画や暮らしに役立つ情報まで幅広く発信しております。